以前に七星から聞いた、『小岩井はあまり家族に恵まれなかった』という話を思い出した。

彼は何も語らない。

雪菜からも訊ねたことはない。

もしかしたら、想像も出来ないような辛い記憶が彼の中にはあるのかもしれない。

それが気にならないと言ったら嘘になるけれど……触れてはいけない領域のような気がして、訊くことは出来ない。

彼の過去の傷に触れても良いものか。

心の奥底に沈むものに手を伸ばしても良いのか……迷う。



だが今は、この見える傷だけでも治してあげたかった。

指先に冷気を集中させ、痛々しい火傷の痕にそっと触れる。

この傷が癒える頃には、心の傷も癒えれば良いのに──そう、願いながら。








またまた突発的に小岩井さん。


ううー(ρ_;)