朝方、まだ陽の昇らない早朝。
布団の上で、雪菜は静かに覚醒する。
ひとつ息をして起き上がり、群青から菫色に変化してきた窓の向こうに目をやる。
「……小岩井さん?」
何故だかその名を呟いて。
何故だか返事がないことに不安を覚えて。
雪菜は宿直室を出る。
この時間、まだ見回りをしていることが多い小岩井。その姿が見えなくても、呼んで返事がなくとも、それは当たり前のことであった。
なのに……なんだろう、この胸騒ぎは。
逸る胸を押さえ、しんと静まり返った暗い校舎内を走る。
夏とはいえ、陽が昇らないうちはまだひやりとした空気を残す外に出て、中庭へ向かう。
小岩井が世話をしている色とりどりの花たちが咲く花壇を横目に、次第に薄れていく菫色の下、泣きたい気分で走る。
そうして、見つけた。
中庭にあるベンチに座り、じっと、空を見つめている彼を。
布団の上で、雪菜は静かに覚醒する。
ひとつ息をして起き上がり、群青から菫色に変化してきた窓の向こうに目をやる。
「……小岩井さん?」
何故だかその名を呟いて。
何故だか返事がないことに不安を覚えて。
雪菜は宿直室を出る。
この時間、まだ見回りをしていることが多い小岩井。その姿が見えなくても、呼んで返事がなくとも、それは当たり前のことであった。
なのに……なんだろう、この胸騒ぎは。
逸る胸を押さえ、しんと静まり返った暗い校舎内を走る。
夏とはいえ、陽が昇らないうちはまだひやりとした空気を残す外に出て、中庭へ向かう。
小岩井が世話をしている色とりどりの花たちが咲く花壇を横目に、次第に薄れていく菫色の下、泣きたい気分で走る。
そうして、見つけた。
中庭にあるベンチに座り、じっと、空を見つめている彼を。