そんな健全な普通の男子高生な反応をする拓斗とは違い、和音はふっとキラキラな笑みを零すと、花音の頭をくしゃりと撫でた。

「分かった分かった。新学期が始まったばかりだし、花音も不安なところがあるんだろうね。今日くらいは一緒に寝てあげるよ」

「わーい。お兄ちゃんだいすきー」

ほにゃ~と微笑む花音ににこりと微笑みかけると、和音は拓斗の背中をぽんと叩いた。

「さあ、拓斗も枕を持っておいで」

「ええ、僕も!?」

嫌そうに顔を顰めると、和音が首をかしげた。

「何か不満があるのかい? ……もしかして、同じ枕で寝たいとか?」

「そんなわけないでしょ」

「ああ、分かった分かった、真ん中に寝かせてあげるからね。子どもの頃はよく花音と真ん中の取り合いで喧嘩してたけど、拓斗はいつまで経っても甘えん坊さんだなぁ」

「えっ、違っ、そういうことじゃないって!」

「うふふー、拓ちゃんは甘えんぼさん~」

「花音には言われたくないよ!」



──まあ、そんなこんなで。

結局、兄弟全員並んで眠ることになった。

花音は兄たちにくっついて寝たおかげでもう箱の怖い夢を見ることはなかったが。

両脇から抱きつかれた挙句、上に五所川原を乗せられて眠る拓斗は、朝方までうなされる羽目になったとさ。




◆ ◆ ◆



パペット様、そして箱、ごめんなさい。



三兄弟で一番精神的に苦労するのは、真ん中だと思います。