いつものように朝五時に起床、少し眠い目を擦りながら和音の作ってくれた朝食を軽く食べ、ランニングをしながら学校へ向かう拓斗。

校門のところで会った龍太郎と軽く挨拶を交わし、校庭の片隅でいつものようにストレッチをして体を解していると。

「やってるな」

黒髪を両サイドでシニヨンにした、赤いチャイナドレスを着た美女が眠そうな顔でやってきた。

龍太郎と拓斗の師、『完璧超人』李龍娘だ。

「おはようございます、老師！　今日もご指導、宜しくお願いします！」

拓斗が元気良く挨拶をすると、龍娘は眠そうに欠伸をしながら「ああ」と片手を挙げた。

そんな龍娘に、拓斗は小さな箱を持っていく。

「老師、これ、妹がいつもお世話になっているお礼に持っていけと、持たせてくれたものなのですが」

「なんだ？」

龍娘はぼうっとしたまま、拓斗が差し出したピンクのリボンでラッピングされた箱を片手で受け取る。

やけに軽い。

耳元で軽く振ってみれば、箱の中からカサカサと音がした。