携帯から聞こえて来た『よぉ!』という声にニックは首を捻る。



『…お前、新郎じゃないのか?』



『なんだ、開口一番…。結婚式ならもうとっくに終わってるよ。』



『そうなのか…てっきり花嫁に逃げられたのかと思ったぜ。』



『お前じゃあるまいし、んな事あるわけねぇだろ…』



呆れたような口調の右京に弁解をしようと口を開いた時、『ちょっと頼みがある』という彼の言葉に遮られた。



『調べて欲しい事があるんだ。』



どうせ暇だろ?とでも言いたげな言いっぷりに、ニックは反論しようとして止めた。



『…何を調べるんだ?』



『“黒魔術”だよ。』



『……はぁ?』



自分の考えが正しければ、彼等は今ハネムーンの真っ最中のはずだ。



それが何故今“黒魔術”について知りたいというのか…。