イギリス郊外にあるアパートの一室で、ニックは机に足を乗せ天井を仰いでいた。



…つまらない…。



秘密結社であるP2もその活動を自粛しており、これといってやることがないのだ。



…いや、やることは幾らでもある。



ないのは本人の“やる気”の方だろう。



いつもならこのやる気の無さに喝を入れてくれる有能な担当がいる。



だが、彼女にしては珍しく“有給休暇”をとっているのだ。



『…結婚式かぁ~…いいなぁ~…』



…バチェラーパーティーはやったのかな…?



そんなどうでもいい事に思いを馳せていると携帯が鳴る。



ニックは『はいは~い』と独り言を言いながら通話ボタンを押した。