…精霊か…



確かにその可能性は大いにありうるなと考えながら、クリスは手入れの終わった愛銃をホルスターへと納めて静かに机に置いた。



『で、お前は精霊探し行くわけか…』




『いや、それはロイが行く事になったよ。』



『ロイ?あいつはオペレーターじゃないか?』



『下調べだし知識もあるから問題ないだろ。俺は極力行きたくないんだけどね。クリスも後から合流するんだろ?』



いつもの気だるそうな彼の口調にクリスは小さくため息を吐くと『まぁな』とタオルで手を拭う。



『とりあえず今抱えてる案件を処理してからだな。』



報告がてら現在のダンピールの居場所も騎士修道会から聞き出しておかねばならない。



…どんな奴かも知らないしな…



もし、自分達に敵意があるとすれば、それなりに対峙する事にもなるだろう。



ただ、そうなった場合少々厄介な相手に違いない。



クルースニクとダンピールではハンターとしてもレベルが違い過ぎる。



…まぁ、キャリアなら自分の方が上か…



ふと、来客を報せる鈴の音が聞こえ我に返る。



立ち上がったクリスに『そろそろ行くよ』て右京が先に入口へ向かった。



そして思い出したように振り返ると彼はちょっと悪戯に笑みを浮かべた。



『さっきの喪失感の件だけど…それもオルレアンで謎が解けると思うぜ。』



そう言い残して出て行く彼にクリスは首を傾げた。



『オルレアンね…』



ヨーロッパなら他のハンターも居ただろに、何故騎士修道会は外部へ話を持って行ったのか…



接客をしながらも頭の中ではそんな疑問がぐるぐると渦巻いて消えないのだった。