つい先日その依頼について散々議論したばかりである。



…騎士修道会は何かを隠している…




この手の事件をP2に依頼して来たのも何らかの理由があるだろう。



例のダンピールが関係していたとしたら、騎士修道会が公に動く事が出来ずに外部へ依頼したのなら納得出来る。



だがP2ではそれを疑問視する意見があった。



『これって本当に悪魔的何かの仕業なのかな…』



何気なくそう言ったのは虎太郎だった。



もし悪魔らの仕業だとすれば、天界での抗争真っ只中にあるルシファー一味が秘密裏に動いている事になる。



それはタイタンを欺く行為であり、賢明とは言い難い。



『俺も引っかかるんだよね…騎士修道会の見解は間違えじゃないかと思う。』



右京もそう言うとアランは椅子に身を深く沈めて考え込む様な仕草をした。



『…むしろ神が悪魔の仕業に見せかけた可能性もあるな…』



『確かに。騎士修道会はハナから悪魔の仕業としか考えてないみたいだしね。 』



黙って聞いていたロイが『なぁ…』と珍しく真面目な表情をして会話を制する。



『そもそも神とか悪魔とか、決定的な根拠はない訳だろ?じゃあ、別の何かかもしれないよな?』



一同の視線がロイに集中すると、彼は『いや、だってさ』と弁解をしだした。



『オルレアンは都心から少し離れれば深い森もあるし、ヨーロッパ辺りなら精霊の類いって可能性もあるかもしれないだろ?』



珍しく返ってきたマトモな言葉に一同は顔を見合わせるた。



熱でもあるんじゃないかと額に手を当ててくるダンの腕をロイは叩き落とす。



そんなやり取りを笑いながら見ていた右京の隣で、アランは眼鏡の奥の瞳を細めて口を開いた。



『それもなかなか興味深いね。じゃあ、ちょっと調べて来てくれ。』



一瞬みんなの動きが止まり、一拍置いてから揃って今度はアランに視線を向けたのだった。