ロイはそんな右京に構わず喋り続ける。




『開発当時は用途についてかなり大揉めだったってのが専らの噂でね…ASATとして計画が進められていたが、最終的には偵察衛星に切り替わったって話だ。』



『ASATって?』



『衛星攻撃衛星…通称キラー衛星だ。その後、米軍はランドサットを民間に譲った。だから表向きは観測衛星ってなってる。』




『じゃあ、こいつは偵察衛星って事?』




ロイは何を言ってる…と言いたげな視線を右京に向け、小さく溜息を着いた。



『偵察衛星に裏コードなんてあるか?!いいか、良く聞け。5号機は偵察衛星の皮を被ったキラー衛星なんだよ!だからこいつはスゲぇブツを隠し持ってる!…クロウの何か比じゃねぇ位のをなッ!』




ロイの話が本当だとすると、物凄く自分達はヤバい橋を渡っている事になる。



…アランにばれたらまた何か言われそうだ…



そしてこのハッカーの仲間である自分はめでたくサイバー犯罪者の仲間入りだ。




『俺たちは今、警察だけじゃなく、軍まで敵に回してるんだな…』



『ばれなきゃいいんだよ、ばれなきゃ!』



相変わらず能天気なロイに軽く眩暈がした。