「近付いては駄目です!危険過ぎる!」



「でもっ…ケイがっ!!」



そう叫ぶ忍達の脇を何かが駆け抜けた。




…あれは…っ



その黒く大きな影は地を蹴り跳び上がると、一瞬の隙を突いてケイをそれから奪う。



…犬っ?…違う…豹!?




艶やかな黒い毛に覆われたしなやかな身体…



低く唸る黒豹を凝視する忍の耳元で「ワタクシは…」と潤が囁く。



「我が主より忍様をお護りする様、命を受けております。…同様に彼も…彼の主より命を受けているのです…ケイ様をお護りする様にと。」




「…彼の主?」



黒豹は口にケイを咥えたまま忍へと駆け寄り…下ガレ!…と言う。




それは紛れも無くルークの声だった。




豹はケイを忍へ託し、光から庇うように立ち憚る。



そして低く唸りながらそれを睨みつけた。



「忍様!こっちへ!!」



「で…でも…!」



潤は忍を自分の背後に追いやるとチラリと彼女を振り返って微かに笑った。