「あんた私に何て言ったか覚えてないの!?」



「えっ…俺何か言ったか?」



「えぇ、恥ずかしくなるような台詞を何度も囁かれたわ!」



みるみるうちに真っ赤になった田所は「うそだろ?」と呟く。



「付くならもっとマシな嘘つくわよ!」



怒ってまだ長いタバコを灰皿に押し付けるとしのぶは喫煙所を出ていった。



田所は「…参ったな…」と独り言を呟くと額に手を当てた。



本当に記憶がはっきりせず、気が付けばベットに寝ていたのだ…裸で。



夢の中で自分は彼女を抱いたが、それが現実だったのかもしれない。



…って事は…本音吐いちゃった?



「…はぁ…マズイな…」



もしそれが現実だったなら、絶対に言ってはいけない事を自分は言ったのかもしれない。