考えるよりも先に体が動いた。



『リサ!早くこっちへ…!』



『きゃっ…!ヒュー…ッ!?』



物陰まで引っ張られたリサは虎太郎の大きな手で口を塞がれる。



状況の理解出来ない彼女は不思議そうに彼を見上げた。



『…静かに。…アルテミス様の索敵だ…!』



ぼんやりと明るい周囲に警戒しつつ、虎太郎は小さな声で呟く。



『くそ…これじゃあ身動きがとれないっ!』



『一体何処から見てるの!?ヒューガの千里眼は!?』



『駄目だ。使ったら見つかる。』



『でもこのままじゃ、何処かに隠れて朝を待つしか…』



リサの言う通り、動けないのならやり過ごす他無かった。



だが、それでは自分が人間界へ来た意味がない。



『とりあえず隠れましょう?』



『隠れてるだけじゃあ…』



『無意味だ』と言いかけて待てよと思考を巡らせる。



『ここは人間界だ。隠れててもやれる事はある…か。』



『…ヒューガ?』



『おいでリサ。良いことを思い付いたよ。』



そう言ってニッコリ微笑む彼にリサは首を傾げた。