青白い顔のその男は優雅にソファで足を組み替える。



当たり前の様にくつろぐ様子が物凄く腹立たしい。



『クドラク…不法侵入って言葉を知ってるか?』



『ご心配なく。バンパイアには法律なんて関係無いので。』



『何しに来た。うちに来るなって言ったろ?』



『いいじゃないですか…妻が不在な時くらい。それに…』



クドラクは静かに立ち上がるとゆっくりと忍び寄る。



『…こうやってお話出来るのも最期かもしれませんしね。』



彼は口を開き掛けた右京にしぃー…と細い指先を押し当てた。



『…これは私の独り言ですので聞き流して下さい。』



そう言ってクドラクは右京の前に跪く。



『…私達使い魔にも召集がかかりました。近々地上を激しい戦慄が覆うでしょう。…もう…貴方でも止められない…』



『それは…っ!』



再び『しぃー…』とクドラクは右京の言葉を遮る。