「“楽に”…ねぇ。そうかもしれないな。」



嘲笑したような笑みを浮かべる右京をガクはジッ睨む。



「…奴等は妊婦の忍を手にかけようとして失敗した。今度は赤ん坊のうちにって考えたのなら…」



右京はまるでガクを睨み返すように銀髪の隙間からギラついた瞳を動かした。



「奴等はとんだ“誤算”をしている。」



「…どういう意味だ?」



「ん?…まぁ、心配ねぇって事だよ。」



そう言って残り少ないビールを一気に飲み干した。



「ご馳走さま」と言って席を立った右京を見つめてガクは考える。



…本当に心配ないのだろうか?



幼子ばかりが不可解な程に事故死するこの世界…。



その連鎖する死を彼は楽観視しているようにしか思えなかった。