「なんなのかしら…」



不意に呟いた忍にルークはピクリと耳を動かすと、片目を開けて彼女を盗み見た。



どうやら独り言だったらしく、忍はテレビ画面に視線を向けながらブツブツと喋り続けている。



「…虐待の次は幼児の転落死なんて…嫌な事件って続くものなのかしら…」



「私も気を付けないと」と彼女は溢すが、不要な心配だとルークは内心思う。



父親の力をしっかり受け継いだケイには“転落”なんてする筈がないのだ。



例えそれが何者かの故意だとしても、自分が着いていれば問題ない。



ただ気になるのは忍の言う通り、人間界で立て続けに起きている数々の事件だ。



─“この世界には死が溢れてる”─



ルークはそう思えてならなかった。