「そんな心配しなくても大丈夫よ。」



困ったような笑みを浮かべた静に京助はバツが悪そうに顔を背けて座る。



静はお茶を注ぎながら「覚えてる?」と問いかける。



「忍が産まれた時…あの子ったらこんな小さくて…」



「…ああ…そうだったな…」



京助は少し目を閉じて思い出す。



忍は低体重児だった。



産まれて直ぐに保育器に入れられ、退院したのは2週間後。



小学校に上がるまで体も弱く、直ぐに熱を出していた。



外で遊ぶより、家の中で独り絵本を読んでるような内気な子供だった。



そんな彼女が少しずつ外に出るようになったのは右京と出会ってからだ。



仲良く手を繋いで庭を走り回るあの日の忍が瞼に浮かぶ。