マタニティドレスの裾ををたくしあげる右京の腕を制して忍は軽く彼を睨む。



「妊婦を襲うつもり?」



「襲わないよ…合意の上。…だろ?」



悪戯に笑う彼が可愛くて忍は「ばか」と囁いて彼にキスをした。



右京は彼女を抱き上げると足元にまとわりつくルークを見下ろした。



「お前はだーめ!今日くらい俺が独占したっていいだろ?」



「あら、いつも独占してるじゃない!」



「そんな事ねぇよ。」



「あるわよ!」



「ねぇーって!」



そんな言い合いをしながら寝室の戸を閉め、追い出されたルークが扉の前でニャーと一声鳴いた。



─“マルデ 盛リノツイタ猫ダナ…”



ルークは諦めた様に尻尾を振ってソファに戻ると、彼等が出てくるまでの数時間眠りに着くのだった。