「来ないで!!」



いったい自分が何をしたというのか…。



愛妻である忍が言い放った一言に右京はシュン…と肩を落とした。



「だってさぁ…」



「だってじゃない!いい歳して子供みたいな事言わないでよ!」



大きなお腹を突き出し、腰に手を当てて怒る忍。



今にも泣き出しそうな表情の右京に自分が悪い事をしている気になって来たが、ここで引き下がる訳にはいかない。



「なぁ、しのぶぅ~…俺を捨てるつもりかぁ~?」



潤んだ瞳ですがりついた右京に彼女は特大のため息を着いた。



「捨てるって…誰もそんな事言ってないじゃない…」



「同じ事だろ~!俺を一人残して日本に帰るだなんてっ!」



確かにその通りなのだが、彼が言うと全く違う話に聞こえるのは何故だろうか。