『神々がアロンの杖を使うことはないだろう。』



『何故?』



『あれを使うには命を削る事になる。…合理的じゃないだろ?』



神だって命は惜しいのだ。



『あの杖を手に入れたのがクロノスで良かったんじゃない?悪魔達だったら世も末よ!』



シンディの言葉に一同が頷いた。



『あ~!アロンの杖かぁ~…。一度でいいから見たかったなぁ~!』



そんな悠長な発言をするニックに一瞬笑いが起こる。



だが、ダンの『これで良かったのかな…』という呟きに皆は黙り込んだ。



『…良かったのさ。俺がイザベラの立場なら、きっと同じ事を望んだと思うし。』



『おいおい!縁起でもねぇ事言うな!お前、もうすぐ父親になるんだろ!?』



ロイにそう言われて右京は『あっ!』と慌てて時計に視線を落とす。



『やっべぇ!もう0時回ってんじゃん!』



彼は『じゃあ、また!』と慌ただしく出て行く。



右京は今まで以上に忍との時間を大切にしようと考えながら家路を急ぐのだった。