クイーンバリーの稽古場は日が落ちても団員の出入りは激しかった。



殆どの団員はダブルワークらしく、むしろ夜の方が人数が多い位だ。



右京は周りに人影がない事を確かめてから目の前の高い塀をフワリと飛び越えた。



『侵入した。』



『了解。…北側の角か…とりあえず少し待機しててくれ。』



オペレーターであるロイの声を聞きながら敷地内の様子を確認する。



建物はレンガの平屋で、リフォームした形跡はない。



先日見た内部も素人の修復だとすぐ判るような箇所があった。



資金不足かは判らないが、どちらにしても最近売れている割には貧困な様子が伺える。



だがダンの話を聞く限りでは、座長であるイザベラは無職だった。