降車口に向かうアンダーソンは彼を振り返って言った。



『ご存知かな?トカゲの尻尾って再生するんですよ。』



彼の言わんとする事が解り、ベッカーは微かに身震いをした。



『あ、アンダーソン警部!彼女は…イザベラは最後になんて言ったんです!?』



『…“そこに無いのなら何も無い”って言ったんだ。…ね?あの女は強かでしょ?』



フッと笑ってバスを降りたアンダーソンは振り返らなかった。



『…だそうだ…。』



ベッカーはふぅ…と息を付き呟いた。



…『上出来です、Dr.ベッカー。』



耳の奥に聞こえて来た声に彼は安堵する。



今頃声の主であるアランはP2で悪人顔負けの笑みを湛えているだろう。



『こんなスリルはもう御免だ…』



ベッカーは思わず声に出してそう呟いたのだった。