彼はしのぶのライバル的存在で、配属当時は良く比べられたもんだ。



それも今となっては懐かしい昔話。



何故なら、彼と争っても勝目がないから。



あれだけ「負けたくない」と思っていたのに、今は「勝てる気がしない」と思ってる。



「沖田。今日早番だろ?」



「うん?そうだけど何?」



「飲みに行こうぜ。」



「私、明日も出勤だよ?」



「安心しろ。俺もだ。」



彼が飲みに誘って来るのは仕事の愚痴を聞いて欲しい時か、性欲を発散させたい時だ。



つまり、田所としのぶは“セフレ”という関係である。



それは“恋愛感情は仕事の邪魔”という観念がお互いに同じ結果だった。