ルークに見えるようにファイルを捲りながら、視線を文面に走らせる。



「…変だな…」



それはあの稽古場となって居る土地に関してだった。



元々の所有者であるロバートと言う男性は彼女のフィアンセであったらしいのだ。



彼女はあの土地を格安で手に入れたと言っていた。



…そのまま結婚してしまえば手に入るのに何故?



「…破局したのか?」



だが、ファイルにはそんな事は書かれていなかった。



代わりにあったのは“失踪”という文字だった。



ロバートはあの土地を競売にかける手続きの後すぐに失踪していたのだ。



うーんと唸りながらビールを一口啜る。



「…お前はどう思う?」



右京はルークの喉を撫でながら聞く。