右京がイザベラ·マッケンジーのファイルを目にしたのは翌日の夜中だった。



自宅のポストに無造作に投函されたA4サイズの茶封筒には、宛先も差出人すらも書かれていなかった。



だが直ぐに誰からか想像が付いた。



「ただいま~…」



囁くように小さな声で玄関を開けると、薄暗い廊下にキラリと光る目に一瞬飛び上がった。



「…んだよ、ルークか…脅かすなよ!」



数時間前に忍に連絡をいれたが、先に寝ると言っていた。



まさか飼い猫に出迎えられるなんて思っていなかったとは言え、ビクついてしまった自分が恥ずかしい。



右京は「俺を脅かすななんて!」とルークを撫でながらブツブツと独り言を呟いた。



当のルークは大きな瞳で右京を見上げ、ミャアと小さく鳴いた。