生ぬるい夜風に当たりながらメールの送り主であるアラン·スミスに電話掛けた。



『やぁ、クロウ。お邪魔じゃなかったかな?』



2コールで出た彼が淡々とした口調でそう言った。



『大丈夫だよ。…で、話があるんだって?』



『あぁ、そうなんだ。どうやら“奴等”が動いたらしい。』



アランの言葉に右京はピクリと眉を動かした。



彼の話を黙って一通り聞き、『判った…』と短く答え通話を終了させる。



タバコに火を付け、吐き出した煙をぼんやり眺めた。



「…所詮俺は…人として生きる事は許されないって事かな…」



煙と共に闇に消える独り言に寂しげな笑みを浮かべた。



…大丈夫…守るべき大切な存在があるから…俺は…



「…右京?」



部屋の中から聞こえた声に彼は振り返る。



「居るよ…ずっと傍に…」



…俺の居場所はお前の隣だから…。



そしてタバコを灰皿に押し付けると、部屋の中へと戻るのだった。