ソファに寝転んで話を聞いていたニックが『なぁ』と突然口を挟んだ。



『どうしても腑に落ちないんだが、何故イザベラはあそこを買ったんだろう…』



『広い稽古場が欲しかったんだろ?』



『団員の数に似合わない。しかもクイーンバリーはその数を増やすつもりはないみたいだ。…なら、あんな広い稽古場は必要ないんじゃないか?』



彼の言う通りだった。



劇団が注目され始めたのはここ最近の話で、あの土地を購入した当時は成功する保証なんて無かったはず。



もしクイーンバリーが注目されなかったら、彼女は無一文になっていただろう。



それなのに何故イザベラは博打のような行動に出たのだろうか?



『…当たると判ってたのか?』



『馬鹿なっ!んな神様じゃあるまいし…』



『…神…』



鼻で笑うロイの何気ない言葉にアランが呟く。



一瞬、隠された真実が見えたような気がした…。