クイーンバリーの稽古場を後にした右京は帰りの車の中でフゥ…と息を漏らした。



運転席のクリスはいつもの無表情を微かに崩して苦笑する。



『動揺し過ぎだ。』



『嘘は昔から苦手なんだよ!…それにまさか、あれが箱じゃないなんて…』



右京の呟きにクリスは、少し間を開けてポツリと呟く。



『実は騎士修道会からの依頼に“ある物”の捜索ってのがあったんだ。』



彼は『ある物?』と首を傾げる右京に視線すら向けずに続けた。



クリスの話では元々P2宛の依頼だったらしい。



アランは数件の依頼書をデスクに並べ、『どれがいい?』とクリスに聞いた。



潜伏しているUMAの殲滅…騎士修道会のスパイの極秘捜索…下級悪魔の討伐…。



クリスが下級悪魔の討伐に関する依頼書を手にした時、アランは『あ~こんなのもあった。』と最後の一枚をデスクに置いた。