怖じ気付いて殆どの天使が逃げ出す中、彼とアズラエルだけがあの場にとどまった。



死人が出ることを期待していたと言っていたが、それだけが理由ではなかったのだ。



アズラエルは神々から別の密命を受けていた…“ハニエルを監視せよ”と…。



最初から信用されていなかった事に気付き、ハニエルは必死で動揺を隠す。



『私は理由も無しに逃がしたりしません。』



力強い口調できっぱりと言い切る彼に、神の威圧的な声が響く。



“では我等を納得させる程の理由あるのなら述べるがよい。”



『はっ』と頭を垂れたハニエルは、微かに笑みを浮かべ余裕すら感じさせる。



『では詳しくご報告いたします。…あの時、ベルセルクの子供を護衛していたのはウリエルの契約魔、フォカロルでした。』



その情景を思い浮かべる。



ステージ上にはマルバス…上空には自分がおり、正に“三つ巴”だった。