天界の星々は神々によって総轄されている。



それなりに地位の高い神は権力も大きく、管轄する星の数も多い。



人間や悪魔達と違い、神々は権力を拡大しようとはしない。



理由は幾つかあるが、一番は彼等が“秩序を乱す”行為を嫌う傾向があるためだった。



神々の頂点に君臨するゼウスですら例外ではない。



もっとも、王であるゼウスの配下はほぼその一族であり、今まで謀反を起こしたという話は聞いたことがなかった。



だが、天使達は別だ。



稀ではあるが、命令に従わなかった天使達を神々は容赦なく堕天した。



地に落とされ、憎悪にのまれたものは悪魔へと変貌していく。



何度もそんな様子を見てきたハニエルにとって、神に逆らう行為は愚行だった。