恋率方程式





「っ!?」

イチの声が聞こえた。





「泣き止んで、くれ」





確かに聞こえる。
話すことに慣れていないような片言な声。


スッ…


「顔が、くしゃくしゃ、だ。」





確かに感じる。
頬の涙をスッと拭うその先には白く細い腕。



「…イチ……?」
「よか、た。」


顔を上げれば、腕の中で小さく笑うイチ。


「ほら、笑える、ぞ?」
「……イチ!!!」


よかった。
ほんとうによかった。


ほしかった笑顔がここにある。
小さく弱々しいけどここにある。
まだ笑っている。


ギュッと抱きしめた。
腕が痛いだなんてそんなのもう忘れた。



イチ。
ありがとう。
生きていてくれてありがとう。



イチのおかげで、心の穴がふさがった。


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