恋率方程式





アルトの双方の瞳からぼろぼろと涙が零れる。

「っイチ…!!」


この腕の中にある細い体はそれに気づかない。気づくどころか動きすらしない。



失いたくない。



−−−−−


小さい時から親は両方仕事で多忙だった。

「とうたん、あしょんで?」
「…すまない、アルト。」

「かあたーん、あっこ!」
「えぇ…また、ね。」

忙しいのは分かってる。
頑張っているのは分かってる。
頭では。


心はそんな理由納得しなかった。


駄々だって散々こねようとした。
でも、出来なかった。

それで嫌われたら。
嫌がられたら。

それが怖くて何も言わなかった。

「あい!」

そういって笑った。
そうすればぐりん、と頭を撫でてくれた。



それが嬉しくて堪らなかった。


でも。



後には寂しさしか残らなかった。



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