落ちてきた人陰。それはイチだった。一瞬でそれを見極めると、後は自然と体が動いた。
がしっ
「う"ぅっ…!」
さすがの軽いイチでも、6階から落とされたのだ。それなりの衝撃は来た。重力を引き連れアルトの腕へと落ちてきた。
「っ…イチ!」
痺れる腕に顔をしかめ、イチに声をかける。
「…イチ?」
返事がない。
「!?…イチっ!」
イチの体を腕に抱いたまま揺する。
「起きてくれ…イチ…!」
よく見れば、イチの体には打撃を受けた後がたくさんある。
焦る。
頼む起きてくれ。
起きて。
目を開けてくれ。
開けて。
嘘だろ。
嘘って言ってくれ。
「あ…あ"ぁ"…!」
その瞳を開けて。
少し片言な言葉で喋って。
なぁ。
起きてくれ。
_