「……っ!!」
アルトがわなわなと拳を震わせる。
「…これが、私のきっかけ、だ…」
全て言った。
今更言っても何も変わらないが、不思議とスッキリした。
「そんなに辛いことだとは、思っていなかった。」
すまない、と頭を下げるアルト。そしてイチの頭へと手を伸ばす。
一瞬警戒したイチはびくり、と肩を震わせた。
「辛かったな…」
その瞬間何が起こったかわからなかった。だが、かろうじて理解できた。
アルトがイチの体を抱きしめたのだ。そして頭を優しく撫でる。
「…っ!?」
「すまない。わかってあげられなくて。」
そういいつつ、頭を撫でる手は止めない。人に触れられることが大の苦手だったイチは顔を思い切り歪ませる。
だが、意外にも心地よい。
大きな手は暖かくて、どこか懐かしい。それでいて抱きしめる逞しい体は心の底から安心できる。
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