今まで見てきた人間はとても醜かった。仲間を裏切り、殺し、揚句の果てに自らの死を招く。イチ自体信用されたことはなかったし、信じることもなかった。
だからこんな青年に自分を託していいのか、と。
でも、信じてみるのもいいかも知れない。
たった一度きりなら。
その思いがイチのなかで固まった。
警戒していた構えを解く。
「信じてくれるか?」
アルトが整った顔を向けてくる。
イチは顔を上げ、青年の瞳をしかと見据えて言った。
「…お前を、信じよう…」
「そうか。ありがとう!」
パアァッと青年の顔が晴れる。眩しいくらいの笑顔を浮かべて。イチは怪訝そうな顔を浮かべて言った。
「…だが、一度きりだ。」
「あぁ。それだけでもいいさ。」
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