恋率方程式





すぐさまアルトはイチに疑問を浴びせる。

「…私は、お前を殺そうと、した…!」
「だが、殺さなかっただろう?ならいいじゃないか。」

青年はまたニカッと歯を見せ笑う。
そんな笑顔が眩しくてイチはまた揺れた。
何故そんなことが言えるのか。

朝テレビに写っていたアルトの姿を思い出す。あれは偽りの言葉ではなかったのか?
なら−−

「おれは嘘をつかない。」

また笑う。
ぐら、とイチの心が揺れる。

「…信じ…」
「じゃぁ、一回だけでも信じてみてくれ。」

青年の言葉にイチは翻弄される。
信じてみたい−−そんな思いがわずかに芽生えた。

「俺はアルトだ。お前の名は?」
「…名前…?」
「そうだ。俺にもあるのだから、お前にもあるだろう?」

心の底から出てきたような笑み。イチは胸に暖かいものが流れてきたのがわかった。


_