イチは青年と距離を置き、警戒する。もうこの部屋からは逃れられない状況だと知っていたから。
相手はイチの力を片手で封じ込められる。しかも、手刀なんてやられたら一発でノックアウトしてしまう。そんな青年から逃げるなんて不可能だ。
「元気そうで何よりだ。」
アルトはそう一人で納得すると、眩しいくらいの笑みをイチに投げ掛けられた。
「……っ!?」
何で笑う?そういう疑問もあったが、イチの頭はそれより、何故私を気にする?という疑問が強かった。
「心配することはない。俺はお前に危害など加えない。」
「……!?」
またまばゆい笑顔を向けられ、イチはうろたえた。コイツは自分を殺しに来た相手をいたわるのだ、と。
「…信じ、ない…」
「何故だ?」
初めてイチが言葉を投げ掛けた。
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