「人を殺さなくとも、生きる方法はたくさんあるじゃないか。」
「…そんなの…っ!」
青年の言葉に怒りが膨れ上がり、顔を向けると−−
「…何で…」
とても哀しい顔をしていた。
イチには理解出来なかった。
「…私を哀れむ、つもりか…」
「いや…」
青年はイチの腕を掴む力を少し緩めて言う。
「お前をこんな状況に置いた世の中は、とても醜いと思ったんだ。」
「…そんなこと、思うだけ無駄だ…!」
いいや、というように青年は首を振る。
「でも、それだからと言って人を殺してはならない。動物だってそうだ。だから食べ物は粗末にしてはいけないし、礼を言わなくてはならないんだ。」
「…私にとって、生きるためなのだから、同じだ…!」
そう言うと押さえ込まれていた右手に持っていたナイフを左手に移し、青年に向かって切り付けた。
「!!」
それを見事に避けた青年はイチの首に手刀を入れた。
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