何者かによって手首を掴まれた。
しかも相当な力で押さえ込んでくるので、手首が折れそうだ。
「…離せ…っ!」
「お前は誰だ。」
そう掴んだのは、目当ての青年だった。
茶髪の髪は前髪ごと上げていて、端正に整えられた顔と瞳がよく見える。だが、その目は哀しみに溢れていた。
「何故こんなことをする。」
「…関係ない、だろ…!」
両手で青年を押しのけようとするが、剛力でびくともしない。
「人を殺すのか?」
「……っ!!」
青年の言葉などお構い無しに抜け出そうとするが、何もできない。
「何故こんなことをする?」
「…生きる、ためだ…!」
今だに動かない青年の手を必死に取ろうとしながら、イチは答えた。
_


