いつも通り、母ちゃんの病室に行った。 病室には、意識が戻らないまま眠っている 母ちゃんがいるはず、だった。 『母…ちゃん…?』 ベッドに座って、外を眺める母ちゃん。 『母ちゃんっ…意識が戻ったのか!?』 母ちゃんは黙ったまま、静かに涙を流した。 そして、一言だけ呟いた。 『拓哉…さん…』 なんで…? 母ちゃんが言ったのは、親父の名前だった。 そして、俺は確信した。