カランコロン



温かく私を迎えてくれる薄暗い喫茶店。

ドアの音を聞くと、胸が熱くなった。




「いらっしゃい・・・」


マスターは静かに言った。



コーヒーを入れながら、チラっと視線を私に向けて、またコーヒーに視線を移す。



まるで何年も前からこの店の常連であるかのように、

自然に、何も言わずに…


コーヒーが出てきた。




ひとかけらのブラウニーと共に。





お客さんは誰もいなかった。


9時半という微妙な時間。



モーニングを食べに来たサラリーマンももう会社へ行った。


お茶をするにはまだ早いこの時間は、

一人で来るには最適だった。