夫はいつも要領がいい。 何をするにも、タイミングを大事にする人だった。 だからと言って… どうしてこうも、抜群なタイミングで事件を起こしてくれるんだろう。 田所さんとの秘密の時間を過ごした私の罪悪感を消してくれたのは夫だった。 珍しく飲み会もなく帰宅した夫は、お義母さんと並んでテレビを見ていた。 夕食を終えて、私は洗い物をしながら、また思い出していた。 忘れることなんてできない。 夢のような時間。 この手に触れた。 あの人の手が触れた。