後ろから2列目の右の2人用の座席に座った。 お義母さんは、いつもと違う担当の人でないことにまた機嫌を悪くした。 ずっと顔を右に向けたまま、窓の外を見ていた。 彼は、乗り口に一番近い左の1人用の座席に座っていた。 ちょうどタイヤの上にある席のせいで 彼だけ高い位置にいた。 日差しを浴びた髪が輝いていた。 細い体つきの割に、しっかりした首。 大きな手で自分のあごひげを触っていた。 目が離せなかった。 この虚しい気持ちを、消しゴムで消してくれた。 右にお義母さんがいることすら忘れていた。