ガスストーブが出回る前に建てたこの家には、ガスの栓がない。 懐かしい音楽と共にやってくる灯油の配達のおじさんとは、もう顔見知りだ。 灯油を入れる手が寒さで凍りそう。 そのカサカサした手の荒れを見て、私はやっとため息をつく。 何の為に生きてる? 何の為の私? 誰の為の人生?