私はお手伝いさんじゃない。 私は夫の都合の良いうわべだけの妻でいたいわけじゃない。 出逢った頃のあの気持ちを忘れてしまったわけじゃない。 忘れる方が楽だと思っていただけ。 「まだやり直せる」 そう強く言ってくれた田所さん。 私は深呼吸をして、玄関のドアを引く。