「ちいちゃんは幸せ者だね。こんなにたくさんの人に、想ってもらえて。まぁ、私もほっとけない一人なんだけどね」
そう、私もかれこれ15年、ちいちゃんの世話を焼いてきた一人
隣の一樹くんも何故か嬉しそうに、うん、うん、頷いている。
「そんなこと言って、杏子さんも充分美人だよー。モテるでしょ?」
「全然。ちいちゃんの可愛げの一割でもあれば、いーんだろーけどね」
私の答えを冗談だとでも言いたげに、一樹くんは私の肩をつついた。
「またまたー。そんなこと言って、実は結婚してたり……」
「30だけど、独身よ」
一樹くんにからかわれてる気がして、ちょっとムっとしちゃったじゃない。
でも、一樹くんはお構いなしみたい。
「そっか。彼氏とかいないの?」
「え、あ、うーん」
彼氏……ねぇ。
「その様子はいるな」
「さぁ、どっちだろーね」
「あっ、はぐらかされたー」
そう言って、一樹くんは無邪気に笑ってた。


