隣の一樹くんは、相変わらずご機嫌にお酒を飲んでる。
ちいちゃんと付き合ってたのなんて10年も前だし、彼の中では、もう過去のことなのだろう。
そうであって欲しい。
「ホントに、ちいちゃんの魔力って、すごい」
「ん、なにが?」
「この中に一樹くんと同じよう人は、多分他にもいっぱいいるのよね。
なのに、みんなちいちゃんのこと祝福しに来てるんでしょ?
普通なら、訳わかんないよね」
「うーん、それはやっぱり、千秋ちゃんだからじゃない?」
「え?」
一樹くんは、すっごく穏やかな笑顔をしてた。
「なんでかわかんないけど、とにかく千秋ちゃんには幸せにはなって欲しいんだよね。
本当は、俺がそうしてあげたかったんだけどさ。
なーんつって。まぁ、純平なら、大丈夫なんじゃね?」
「ふーん。そーなんだー」
「そーなの」
男の人にそんな風に思ってもらえるちいちゃんって、正直羨ましい。
私にちいちゃんの素直さの1/10でもあれば、人生もっと変わってたかも、って思う。


