おんなともだち episode1



私がぼーっと彼の話を聞いてる間にも、彼は、私をうまく誘導しながら、空いてる席に座らせてくれた。

途中で、ちゃんと二人分の飲み物まで取ってきてくれてる。

「コレでいい?」

と言って、彼はオレンジ色のカクテルを渡してくれた。

「えぇ。ありがと」

場馴れしてるな、なんて関心してたら、彼はグラスをかかげて、私の顔を覗き込んでる。

「俺、斉藤一樹。よろしくね」

「私は宮崎杏子。よろしくね、斉藤くん」

「一樹でいいよ、杏子さん。

 はい、乾杯!」

って、一樹くんは人懐っこく笑った。


ちょっと強引だけど、ひとりぼっちの会場では、救いの神かも。

ノリは軽いけど、悪い子じゃなさそうだし、私は彼と一緒にいることにしたんだ。