「…ちょっと、ね」 言葉が見つからなかったあたしは、曖昧に笑って誤魔化した。 あたしの胸中は複雑だった。 やめてほしい。 やめてください。 先輩のことなんか――― 「それよりさ、昨日出た宿題が―――」 無理やり話題を変えたあたしを、ほのかが怪しまないでくれることだけを祈った。 知られたくないという気持ちがやはり強い。 自身の胸中が複雑で上手く整頓することができていない状況で、話しができるわけがないと思うのだ。