あたし、どうして先輩と付き合ってるんだっけ…? なんて、そう頭の片隅で疑問を持ったときだった。 声がした。 蒸し暑い空気を突き破るような。 心の隙間に氷を詰め込まれたような。 そんな。 「おい、水涼」 声。 あたしを呼ぶ、声。 いつも聞く声が。 声が。 声が聞こえる。 あたしはゆっくりと夏目涼からその声の主へと視線を移す。