バイオレンス・ダーリン!?

 しかしただひとり、この敵意というブリザード吹き荒れる空気の中、春風みたくのんびりマイペースな男がいる。

 誰とあえて言う必要もなかろうが、矢柴慎吾その人である。


「あーすみません、沖センパイ。そういうことらしいんで、俺帰ります」

「お、おう。
こっちこそ、なんか悪かったな。……またな矢柴」


 ぎこちなく笑う沖に、にっこりと返して軽く会釈する慎吾。

 このキラキラ輝く微笑みに、『二度と来ませんよ』というはっきりとした意思表示がこめられていると気付いたのは、付き合いの長い波月だけであった。


「じゃ、行こう。付き合わせてごめんな、瀬戸口」

「あ、ううん」

「大丈夫?」

「……うん。ありがとう、矢柴君」